嗷訴(読み)ごうそ

改訂新版 世界大百科事典 「嗷訴」の意味・わかりやすい解説

嗷訴 (ごうそ)

強訴とも書き,平安時代中期より室町時代に至るまで,中央・地方の大寺社の衆徒・神人(じにん)が,宗教的権威を背景に徒党を組み朝廷や幕府にさまざまな要求を強要した行動である。968年(安和1)興福寺衆徒が春日神木を奉じて入京して以後,院政期に至り最盛を極め,白河上皇を嘆かせた三不如意の一つ比叡山山法師や,山階道理の語を生んだ興福寺衆徒の嗷訴は最も有名である。嗷訴ではしばしば理不尽な訴えが行われ,嗷訴側は神輿・神木を洛中に動座させ,神仏みずからが訴訟に赴く形をとり,神罰仏罰を盾に有利な裁許を求めた。要求が容れられぬと神輿・神木は洛中に放置され,朝廷や公家は神仏の罰を恐れ朝儀を止め,理不尽な要求を容認して帰座を求めた。しかし鎌倉時代以降武家政権は嗷訴に強硬な姿勢を示し,将軍足利義教に至っては1434年(永享6)比叡山内嗷訴衆徒への武力弾圧の挙にで,嗷訴はしだいにその政治的効力を失い,減少の一途をたどった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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