塩素リン(燐)灰石(読み)えんそりんかいせき(英語表記)chlorapatite

改訂新版 世界大百科事典 「塩素リン(燐)灰石」の意味・わかりやすい解説

塩素リン(燐)灰石 (えんそりんかいせき)
chlorapatite

含リン鉱物の一種。広く分布し,塩素に富む鉱物。化学組成はCa5(PO43ClであるがClの一部がF,CO3,OHで置換されていることが多い。六方晶系,柱状結晶または六角厚板状の結晶として産出するが,塊状集合体として存在することが多い。無色,白色,淡緑色,淡褐色,灰色,ガラス光沢を呈する。モース硬度5,比重約3。塩基性深成岩類中に脈状を呈して産出することが多く,その他火成岩接触部や同種の地質帯の鉱床,熱水鉱床内の空隙などに産出する。火成岩,堆積岩,変成岩の中に分布する場合,リン鉱石として採掘され,重要なリン資源として利用される。六角板状の良好な結晶が足尾鉱山などの金属鉱山,六角柱状の良好な結晶は箒沢(ほうきざわ),玄倉(くろくら)(ともに神奈川県)などより産出し鉱物標本として珍重されている。またメキシコ産の黄色透明な結晶は飾石として利用されることもある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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