日本大百科全書(ニッポニカ) 「日吉小三八」の意味・わかりやすい解説
日吉小三八
ひよしこさはち
(1907―1995)
長唄(ながうた)唄方。本名石村義一。養母吉住(よしずみ)小乃、叔父吉住小三蔵、4世吉住小三郎(のち慈恭(じきょう))に師事。前名は吉住小三八。第二次世界大戦後、家元小三郎と袂(たもと)を分かち別派を樹立、14代杵屋(きねや)六左衛門と長唄清明会を組織する。1969年(昭和44)日吉流を樹立し、理事長となる。廃絶した古典長唄に深い関心を示し、杵屋栄二、11世田中伝左衛門とともに『俣野相撲(またののすもう)』『七騎落(しちきおち)』『釣狐(つりぎつね)』などを復活した。日吉会、紫紅会を主宰するかたわら、芦屋(あしや)大学教授として後進の指導にあたり、74年に重要無形文化財保持者に認定された。
[渡辺尚子]