日根野荘(読み)ひねのしょう

山川 日本史小辞典 改訂新版 「日根野荘」の解説

日根野荘
ひねののしょう

和泉国日根郡にあった荘園。荘域は大阪府泉佐野市付近。1234年(文暦元)以後九条家領。熊取(くまとり)荘との境にある山地に作られた溜池がおもな用水源だったが,水利は悪く開発は進まなかった。鎌倉時代の2枚の絵図にも荒野が多く描かれている。樫井(かしい)川のかなり上流から取水する井川(湯川)の開削ののち開発が進展し,安定耕地や集落が形成されたらしい。1501年(文亀元)から4年にわたり,九条政基(まさもと)が在荘直務を行った。その折の日記「政基公旅引付」からは,惣結合のあり方,日根野氏ら在地領主や守護と村の関係などを知ることができる。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の日根野荘の言及

【九条政基】より

…96年(明応5)おそらく家領経営をめぐる利害対立を原因として,息男尚経とはかってみずからの手で九条家執事唐橋在数を殺害するという事件をひきおこした。また没落しつつある家領の維持を目的として,1501年(文亀1)3月よりおよそ4年間にわたり和泉国日根野荘に下向,滞在し,みずから荘務を執った。崩壊期荘園制下における荘園領主側の対応として一典型ともいうべき著名な行為である。…

【日根荘】より

…和泉国日根郡(現,大阪府泉佐野市)にあった九条家領荘園。日根野荘とも書く。鎌倉中期の1234年(文暦1)同郡日根野,鶴原荒野に四至を占定した官宣旨によって立荘され,天文期(1532‐55)まで維持された。…

※「日根野荘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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