湧別技法(読み)ゆうべつぎほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湧別技法」の意味・わかりやすい解説

湧別技法
ゆうべつぎほう

先土器時代の終末期近くに多い細石器は,細石核と呼ばれる石核からはがされた細石刃からつくられるが,この細石刃を準備するための技法北海道東北地方などに分布する。原材料黒曜石などの原石両面から加工し 10cm内外の大きさの両面加工の素材をまずつくる。この長軸方向に剥離を加え,細石刃を剥離するための打撃面を用意する。この面に打撃を加え細石刃を剥離する。この技法はアムール川流域などのアジア大陸にも広くみられる。

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世界大百科事典(旧版)内の湧別技法の言及

【細石器】より

…日本の細石器は分布圏としてはモンゴル型細石器に属し,全国的に発見される。北海道を中心にした細石刃づくりには湧別技法が知られ,九州にはそれに近い西海技法があり,中間帯には舟底形石核や日本の細石器文化研究の足がかりとなった矢出川遺跡の細石核などがある。ただ九州地方では複雑な様相を示し,上場(うわば)遺跡ではナイフ形石器,台形石器,細石刃が共伴することが知られた。…

【白滝遺跡】より

…発掘調査は55‐60年に行われ,遺物の種類と出土状態からIとIIの文化層に分けられた。白滝II文化の石器群には両面加工のポイントと,湧別技法と呼ばれる特徴的な製作技術によって作られた白滝型舟底石器を伴うが,Iには伴わない。この特殊な技法による石器は,北東アジアからアラスカにかけて類似のものが分布し,それらの文化と密接な関連のあったことがうかがわれる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」