石刃(読み)せきじん

  • blade

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

英語でブレード blade,フランス語でラーム lameともいう。円状石核の面を周縁に沿って打撃し,側面から次々に打剥された剥片石器で,後期旧石器時代を特徴づけている。基本的には両側平行の長方形で,長さが幅の2倍をこえるもの。石刃の両側は鋭利な刃をもつが,片側を刃つぶしすればナイフ一端をとがらせると尖頭器あるいは錐,端部に加工するとエンドスクレーパー,特殊な加工を加えるとグレーバーなど,用途に応じた多様な石器に仕上げられる。

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百科事典マイペディアの解説

ブレードともいう。細長く,両側にほぼ平行の刃をもつ剥片(はくへん)石器。原石を適当な大きさに加工し,そこから縦長の剥片を連続して剥ぎとっていく技法(石刃技法)により,同じ規格の石刃が大量につくられるようになった。ヨーロッパの後期旧石器時代に発達し,日本列島では約3万年前からナイフ形石器をはじめ,尖頭器,スクレーパーなど定形的な石器の素材とされた。
→関連項目オーリニャック文化オルドス文化カプサ文化旧石器細石器マドレーヌ文化

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ブレード。石器時代人が石核からはがし取った剥片(はくへん)のなかで、とくに長さが幅の2倍以上あって、しかも長軸に沿って2条か3条の稜(りょう)が平行して走っているものをいう。石刃をとるためには、まえもって円筒形もしくは円錐(えんすい)形に調整された石刃核を用意する必要があり、このような方法で石刃を連続的に生産する方法を石刃技法(ブレード・テクニック)とよんでいる。石刃技法の開発は、約3万年前から始まった後期旧石器時代の特色とされており、多量生産された石刃を素材として、さらにナイフ、尖頭器(せんとうき)、錐(きり)、彫刻刀、スクレーパーなど各種の狩猟具や工具がつくりだされた。後期旧石器時代文化の発展は、石刃技法をその基盤に置いて考えなくてはならない。

[芹沢長介]

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

石器時代,剝片石器の一種
刃器 (じんき) ともいう。Blade訳語。両側に刃があって,切ったり削ったりするのに用いる。

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世界大百科事典内の石刃の言及

【旧石器時代】より


[後期旧石器時代]
 旧人にかわって新人が主人公となり,道具類の発達,狩猟技術の進展,芸術作品の制作などに見られるように,旧石器時代文化を最高に発達させた時代であり,約3万5000年前から約1万年前まで続いた。まず第1に注目しなくてはならないのは,石刃技法(ブレード・テクニック)の確立によって,石器の作り方が大きく進展したという事実である。石刃というのは,横断面が台形の細く長い石片であり,両側辺にはかみそりのように鋭利な刃をそなえている。…

【細石器】より

…地域により年代,文化編年に多少の違いはあるが,旧石器時代の末期から新石器時代の初めにかけて(その中間に中石器時代を置くことがある)の時代を示標する石器の一つである。旧石器時代の石器づくりを概観すると,石器類の主体は独立した大型のものから小型のものへと移っていくが,この流れの背後には後期旧石器時代に最高潮に達した石刃技法の完成がある。細石器づくりはこの技術の発展したものであり,二つの大きな流れをもつ。…

【石器】より

… また打製石器には,石材の芯の部分を残すようにしてつくる石核石器と,剝いだ剝片を利用する剝片石器の二つの系列がある。前期旧石器時代の石器類はおもに石核石器であるが,後期旧石器時代には剝片石器が盛んに作られ,特殊な剝片である石刃を効率よく生産する方法,いわゆる石刃技法を編みだす。石刃は長さ20~30cmにおよぶ長大なものから幅1.5cm,長さ数cmの小石刃などがある。…

※「石刃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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