然・爾(読み)しか

精選版 日本国語大辞典 「然・爾」の意味・読み・例文・類語

し‐か【然・爾】

〘副〙 (指示語「し」に接尾語「か」の付いたもの。物をさし示し、感動的意味が伴う)
① そのように。そのごとく。さように。かように。
万葉(8C後)一・一三「神代より かくにあるらし いにしへも 然(しか)にあれこそ うつせみも 妻を 争ふらしき」
古今(905‐914)雑・九八三「我いほは宮このたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり〈喜撰〉」
② (「しかあり」「しかなり」の形で) そうである、もっともだ、たしかだ、この通りだ、などの意に用いる。
※蘇悉地羯羅経延喜九年点(909)「過に於て既に耳(シカなり)。况や法に依りてをや」
※法華二十八品略釈延久二年点(1070)「相似たること既に爾(シカ)あり」
③ (会話文で、言い切りの形で用いる) 承諾を示す応答のことばとして感動詞的に用いられる。そう(です)。その通り。
古事記(712)上「生むこと奈何(いかに)とのりたまへば、伊邪那美の命、然(しか)善けむと答曰(こた)へたまひき」
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「しか。宮も参り給ふべきよしおほせられき」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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