神宮寺(福井県)(読み)じんぐうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「神宮寺(福井県)」の意味・わかりやすい解説

神宮寺(福井県)
じんぐうじ

福井県小浜(おばま)市神宮寺町にある天台宗の寺。霊応(れいおう)山(鈴応山)神願院(しんがんいん)と号する。本尊は薬師瑠璃光如来(るりこうにょらい)・千手千眼観世音菩薩(せんじゅせんげんかんぜおんぼさつ)。寺伝によると、714年(和銅7)滑元(こつがん)(和朝臣赤麿)が霊山を崇拝中に奇瑞(きずい)を得、その麓(ふもと)に寺を建て神願寺と称し、翌年、若狭彦姫神(わかさひこのひめがみ)を迎え神仏両道の寺としたと伝える。鎌倉初期、若狭彦神社を造営して別当寺となり、神宮寺と改称、盛時は七堂伽藍(がらん)25坊を有したという。当寺は奈良東大寺修二会(しゅにえ)(御水取)の「お水送りの寺」として知られる。二月堂下の若狭井の水源根来(ねごり)川の鵜之瀬(うのせ)であるとされ、3月2日には送水(そうずい)神事が行われる。下根来八幡(はちまん)社で山八(やまはち)神事を行い、ついで神宮寺で修験者(しゅげんじゃ)の修二会、達陀(だったん)(内護摩(ないごま))行法、鵜之瀬で送水文を読み、水切り神事を行って香水を流す。1553年(天文22)建立の本堂、鎌倉末期の仁王門、木造男神・女神坐像(ざぞう)は国重要文化財。

[田村晃祐]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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