デジタル大辞泉
「罷り出づ」の意味・読み・例文・類語
まかり‐い・ず〔‐いづ〕【▽罷り▽出づ】
[動ダ下二]「い(出)ず」の謙譲語で、上位者の許しを得て出る意が原義。
1 貴所や貴人などの所から引き下がる。退出する。
「梅壺より雨にぬれて、人の―・づるを見て」〈伊勢・一二一〉
2 会話に用いて、話し手側の「出る」動作を、聞き手に対しへりくだって丁重にいう。出てまいります。
「かかる仰言にて、(山カラ)―・で侍りにし」〈源・手習〉
[補説]狂言の名乗りで用いられる「かやうに罷り出でたるは、洛中にすまひ仕る勾当でござある」〈虎清狂・猿座頭〉のような例は、御免をこうむって出るの気持ちから、「出る」を改まっていう丁寧語として用いられたものとみられる。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例