罷り出づ(読み)マカリイズ

デジタル大辞泉 「罷り出づ」の意味・読み・例文・類語

まかり‐い・ず〔‐いづ〕【罷り出づ】

[動ダ下二]い(出)ず」の謙譲語で、上位者の許しを得て出る意が原義
貴所や貴人などの所から引き下がる。退出する。
梅壺より雨にぬれて、人の―・づるを見て」〈伊勢・一二一〉
会話に用いて、話し手側の「出る」動作を、聞き手に対しへりくだって丁重にいう。出てまいります。
「かかる仰言おほせごとにて、(山カラ)―・で侍りにし」〈手習
[補説]狂言の名乗りで用いられる「かやうに罷り出でたるは、洛中にすまひ仕る勾当こうとうござある」〈虎清狂・猿座頭〉のような例は、御免をこうむって出るの気持ちから、「出る」を改まっていう丁寧語として用いられたものとみられる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例