谷・渓・谿(読み)たに

精選版 日本国語大辞典 「谷・渓・谿」の意味・読み・例文・類語

たに【谷・渓・谿】

〘名〙
地表に見られる細長いくぼ地。成因によって河谷・氷食谷などの浸食谷と断層谷・向斜谷・背斜谷などの構造谷に分ける。形態的には山脈に平行な谷を縦谷、山脈を横断する谷を横谷という。
※古事記(712)上・歌謡御統(みすまる)に 穴玉はや み多邇(タニ) 二渡らす あぢしき 高日子根の神そ」
※枕(10C終)四一「山鳥、友を恋ひて〈略〉谷へだてたる程など、心ぐるし」
波形のくぼんだ所。また、二つの屋根の斜面がながれて合する所などをいう。〔紙上蜃気(1758)〕
③ 同じ世界に住む仲間。連中。社中。
※浮世草子・当世芝居気質(1777)一「たがひに喰合ひそしりあふが此谷(タニ)のならはせなり」
楊弓・大弓で、銭(ぜに)を賭物(かけもの)にするときの八銭。また、一般に「八」の数をいう俗語。〔類聚名物考(1780頃)〕
⑤ (山に対して) 学生仲間で、試験に出そうもない部分をいう語。

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