軽物座(読み)かるものざ

改訂新版 世界大百科事典 「軽物座」の意味・わかりやすい解説

軽物座 (かるものざ)

中世の各種衣料のうち,とくに絹織物特権的な取引を行っていた商人集団。すでに鎌倉末期の1303年(嘉元1)に石清水八幡宮の門前町に,室町時代には下総香取神宮門前に,戦国時代には越前北ノ庄の豪商橘屋に所属する軽物座等の存在をあとづけうる。石清水八幡宮門前町の軽物座は八幡宮境内の駿河三昧堂修造のための人夫役を負担している座々商人のひとつとして記されている。こうした負担の代償として門前町内,あるいは八幡宮支配下の荘園所領での絹織物の特権的営業が保証されていたものであろう。北ノ庄橘屋所属の軽物座に対して,1573年(天正1)この地方に進出した織田信長が北ノ庄3村にわたる軽物座の特権を安堵している。翌年には北ノ庄3村以外に,一乗,三国,端郷居住の絹織物取引商人もこの軽物座中としてみとめられた。この地方の絹織物は少なくとも中世前期から特産物として知られているので,座の結成も室町時代までさかのぼることが考えられる。その後柴田勝家が入部してきても,上質絹・役銭納入を条件に座の特権的営業は保障されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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