三国(読み)サンゴク

デジタル大辞泉 「三国」の意味・読み・例文・類語

さん‐ごく【三国】

三つの国。

古く、日本・中国・インド、または日本・中国・朝鮮のこと。全世界の意にも用いる。
れ末代の俗に至っては、―の仏法も次第に衰微せり」〈平家・二〉
富士山が裾野をひく三つの国、駿河甲斐相模のこと。
古代中国で、後漢の滅亡後に天下を3分したしょくのこと。
4~7世紀の朝鮮で、新羅しらぎ百済くだら高句麗こうくりのこと。

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精選版 日本国語大辞典 「三国」の意味・読み・例文・類語

さん‐ごく【三国】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 三つの国家。「三国同盟
    2. ( 「国」は、日本の地方区分の一つの名 ) 三つの国。三か国。
      1. [初出の実例]「三国を雪ころはしでおっふさぎ」(出典:雑俳・柳多留‐一三(1778))
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 日本・中国・インドの三か国。また、全世界の意にも用いる。
      1. [初出の実例]「夫末代の俗に至ては、三国の仏法も次第に衰微せり」(出典:平家物語(13C前)二)
      2. 「天竺の霊文を唐土の詩賦とし、唐土の詩賦をもって我朝の哥とす。三国をやはらげきたるをもって」(出典:光悦本謡曲・白楽天(1464頃))
    2. [ 二 ] 日本・中国・朝鮮の三か国。
      1. [初出の実例]「天下の繁昌、三国を一つ勢になし、さて我朝の諸大名は申に及ばず、まことに高麗の珍物を捧げ、唐人共の秀吉へ御宝を持ち参る事」(出典:仮名草子・恨の介(1609‐17頃)上)
    3. [ 三 ] 中国、後漢末の蜀・魏・呉の三か国。〔文選注‐三国名臣序賛〕
    4. [ 四 ] 朝鮮の新羅・百済・高句麗、また、新羅・後百済・後高句麗の三か国。〔新唐書‐東夷伝・百済〕
    5. [ 五 ] 朝鮮・琉球・蝦夷の総称。

みくに【三国】

  1. [ 一 ] 福井県北部の地名。九頭龍川の河口に臨む。北陸道の要港で日本海三津七港の一つ。江戸時代には日本海西回り航路の寄港地として繁栄。現在は漁業根拠地・石油基地。東尋坊がある。
  2. [ 二 ] 越前国(福井県)にあった古国。九頭龍川・日野川足羽川の下流域を占めていた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三国」の意味・わかりやすい解説

三国(旧町名)
みくに

福井県北西部、坂井郡(さかいぐん)にあった旧町名(三国町(ちょう))。現在は坂井市東部を占める地域。日本海に臨む。旧三国町は1889年(明治22)町制施行。1954年(昭和29)雄島(おしま)、新保(しんぼ)、加戸(かど)の3村と合併。2006年(平成18)同郡丸岡(まるおか)町、春江(はるえ)町、坂井町と合併、市制を施行して坂井市となった。国道305号、えちぜん鉄道三国芦原(みくにあわら)線が通じる。旧三国町は九頭竜川(くずりゅうがわ)河口右岸の三国湊(みなと)を中心に発達。奈良時代は東大寺領荘園(しょうえん)の米の積出し港、平安末期以降は興福寺兼春日(かすが)社領河口庄(かわぐちのしょう)および坪江庄(つぼえのしょう)の要港、越前(えちぜん)平野の関門として活況を呈した。江戸時代は福井城下の外港で、西廻(にしまわり)海運の発達とともに繁栄し、商圏は蝦夷(えぞ)地(北海道)から京坂地方まで広がった。明治以降、海運情勢の変化、鉄道の開通などにより商港としての機能が衰微し、大正初期には漁港に転換。現在、対岸の福井港や臨海工業地域(テクノポート福井)造成の影響で三国港も大きく変貌(へんぼう)しようとしている。内陸部では米作のほか、ラッキョウ、スイカ栽培が行われる。新義真言(しんごん)宗智山(ちさん)派の瀧谷寺(たきだんじ)の庭園は国指定名勝。国宝の金銅宝相華文磬(こんどうほうそうげもんけい)のほか、貴重な文化財も多く蔵する。丸岡藩砲台跡は国指定史跡。日本海沿いは奇勝東尋坊(とうじんぼう)(国指定名勝・天然記念物)や雄島、越前松島などの景観に恵まれ、越前加賀海岸国定公園の一部となっていて、海浜自然公園、越前松島水族館もある。1879年(明治12)建造の、木造八角五階建ての龍翔小学校(りゅうしょうしょうがっこう)は、郷土資料館「みくに龍翔館」として復原された。三国祭は北陸三大祭の一つとして知られる。

[印牧邦雄]

『『三国町史』(1983・国書刊行会)』



三国(三つの国)
さんごく

三つの国の意で、代表的な3か国をいうが、時代や場所によって異同がある。中国、後漢(ごかん)末には魏(ぎ)、呉(ご)、蜀(しょく)をいい、『韓非子(かんぴし)』には趙(ちょう)、斉(せい)、燕(えん)をあげ、『唐書(とうじょ)』「東夷伝(とういでん)」には海東三国として新羅(しらぎ)、百済(くだら)、高句麗(こうくり)を載せている。日本では古来、日本、唐(中国)、天竺(てんじく)(インド)をいい、全世界はこの3か国からなると考えられていた。そのほか、日本、中国、朝鮮をさす例や、朝鮮、琉球(りゅうきゅう)、蝦夷(えぞ)をいうこともあった。

[田所義行]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「三国」の解説

三国(さんごく)

①〔中国〕中国で後漢の滅亡後に鼎立(ていりつ)した蜀(しょく)(蜀漢)の3国,あるいはその時代。後漢末の郡雄のなかで,後漢の献帝を擁した曹操(そうそう)は,202年袁紹(えんしょう)を破って華北を統一し,208年荊州(けいしゅう)の劉琦(りゅうき)を攻めたが,赤壁の戦いで,父の孫堅(そんけん)以来しだいに江南に勢力を占めた孫権と,劉琦の客将であった劉備(りゅうび)の連合軍に敗れ,劉備は211年蜀に入ってこれに拠り,荊州は呉に奪われた。こうして3国の鼎立状態が生まれたが,220年曹操の子曹丕(そうひ)が献帝の譲位を受けて帝位につくと,翌年劉備が,222年孫権も帝位について,魏,蜀,呉の3国ができた。このうち蜀が最も小さく,丞相(じょうしょう)諸葛亮(しょかつりょう)の死後,263年魏に滅ぼされたが,265年魏は実力者の司馬氏に奪われて(西晋)となり,280年晋は呉を併せて天下を統一した。

②〔朝鮮〕朝鮮の古代国家である高句麗百済新羅の総称。およそ紀元前後に高句麗が中国遼寧省桓仁(かんじん)を中心に成立し,やがて鴨緑江流域に勢力を築いた。4世紀には朝鮮半島中・南部で韓族の統合が進み,馬韓(ばかん)の伯済(はくさい)国(ソウル地方)が百済に,やや遅れて辰韓(しんかん)の斯盧(しろ)国(慶州地方)が新羅に成長。以後,朝鮮半島は三国抗争の時代に入り,やがて唐と連合した新羅が660年に百済を,そして668年に高句麗を滅ぼして朝鮮半島の統一的支配権を確立した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三国」の意味・わかりやすい解説

三国
みくに

福井県北部,坂井市北西部の旧町域。九頭竜川河口の三角州を中心に三里浜加越台地の一部陣ヶ岡台地を占める。 1889年町制施行。 1954年雄島村,加戸村,新保村と合体,1955年芦原町の一部を編入。 1957年浜四郷村の一部と坂井村の一部を編入。 2006年丸岡町,春江町,坂井町と合体して坂井市となった。中心地区の三国はかつて三国湊と呼ばれた北前船の寄港地で,九頭竜水系の船運の要地にあたり,福井平野を後背地に日本海岸有数の商港として栄えた。内陸の鉄道網の発達とともに漁港に転換したが,のちに貿易港としての役割も担った。 1970年代から三里浜に臨海工業地区テクノポート福井が造成され,福井港,石油備蓄基地が建設され,県外から各企業が進出した。漁業が盛んで,ズワイガニ (エチゼンガニ) ,甘エビなどを水揚げする。砂丘ではラッキョウを産する。滝谷寺は国宝『金銅毛彫宝相華文磬』を所蔵,鎮守堂は国の重要文化財,庭園は国の名勝に指定されている。丸岡藩砲台跡は国の史跡。陣ヶ岡の海岸には輝石安山岩の柱状節理が発達した国指定の名勝・天然記念物の東尋坊をはじめ,雄島,越前松島などの景勝地があり,越前加賀海岸国定公園に属する。

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百科事典マイペディア 「三国」の意味・わかりやすい解説

三国[町]【みくに】

福井県北部,九頭竜(くずりゅう)川河口両岸を占める坂井郡の旧町。中心の三国は河口右岸にあり,近世,北国第1の港といわれた沿岸航路の要港であったが,北陸本線からはずれ,以後漁港として発展,えちぜん鉄道が通じる。漁業のほか三里浜でのラッキョウ栽培が有名。東尋坊,越前松島,雄島などは越前加賀海岸国定公園に属する。2006年3月,坂井郡丸岡町,春江町,坂井町と合併し市制,坂井市となる。46.42km2。2万4019人(2003)。
→関連項目放生津

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改訂新版 世界大百科事典 「三国」の意味・わかりやすい解説

三国 (みくに)

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デジタル大辞泉プラス 「三国」の解説

三国

三省堂発行の小型国語辞典『三省堂国語辞典』の通称。

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世界大百科事典(旧版)内の三国の言及

【越前国】より

…現在の福井県のうち南西部の旧若狭国を除いた北東部を占める。
【古代】
 北陸地方は古くは(こし)(高志)とよばれ,越前に当たる地域には角鹿(つぬが)国造,三国国造がいた。越は蝦夷経営の前進基地としての政治的役割をもち,589年に阿倍臣を北陸道に遣わし越等の諸国の境を視察させている。…

【遊郭(遊廓)】より

…江戸は徳川氏になってから1617年に傾城町の建設が認められたもので集娼制はいっそう明確であり,57年(明暦3)に浅草の新吉原へ移転したものが幕末を経て昭和まで存続した。このようにして各地に設置された公認遊郭の主要なものを示せば,前記3遊郭のほか,伏見撞木(しゆもく)町,奈良木辻(きつじ),大津柴屋(しばや)町,駿府弥勒(すんぷみろく)町,敦賀(つるが)六軒町,越前三国,佐渡鮎川(相川)(あいかわ),堺高須,同乳守(ちもり),神戸磯ノ町,播磨室津,備後鞆(とも),安芸宮島,同多太海(忠海)(ただのうみ),石見温泉津(ゆのつ),下関稲荷町,博多柳町,長崎丸山などで,《洞房語園(どうぼうごえん)》(1720)は計25ヵ所を挙げている。それらの中には江戸時代前期にすでに衰微したものもあり,諸書の伝える遊郭は地名,件数ともに多少の異同があって一致せず,設置の起源なども確定できないものが多い。…

※「三国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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