都市美運動(読み)としびうんどう(英語表記)City Beautiful movement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「都市美運動」の意味・わかりやすい解説

都市美運動
としびうんどう
City Beautiful movement

19世紀末から 20世紀初頭にかけて,アメリカ合衆国都市づくりに多大な影響を与えた都市計画運動。1893年にシカゴで開催されたコロンブス世界博覧会において,建築家ダニエル・H.バーナムらによって計画された「ホワイトシティー」と称される会場が高く評価され,これを契機に都市美運動が全米に広まった。「軸線」や「広場」といった古典的な都市の造形言語を用いて都市に潤いと秩序を与えようとする運動で,世界の都市デザインに影響を及ぼした。しかし,1920~30年代には都市の発展に伴い,都市の造形美だけを強調する思潮は行きづまり,「効率的な都市」づくりが主たる関心となった。近年は,都市の効率化が都市の個性喪失を招いたことへの反省から,都市美の必要性,美の公共性が再認識され,景観行政に積極的に取り入れられるようになった。(→環境デザイン

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世界大百科事典(旧版)内の都市美運動の言及

【都市計画】より

… 一方,新興工業国ドイツでは1875年にプロイセン建築線法を制定し,1902年にはフランクフルトで土地区画整理の手法が考案され,地区の基盤整備と建築物の規制の制度が確立した。アメリカでは測量技師による道路計画,造園家による公園・緑地計画が先行し,19世紀末,シカゴの世界博を契機に全米に都市美運動が起こり,多くの都市の都心部が整備された。これらの活動を踏まえて,行政が都市計画と本格的に取り組むようになったのは1900年の末ごろからである。…

※「都市美運動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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