アイテル(その他表記)Aither

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイテル」の意味・わかりやすい解説

アイテル
Aither

下方の「大気圏 (アエル) 」と区別し,神々のすみかである光と輝きに満ちた「上天」をさすギリシア語ヘシオドスの『神統紀』では,天地創成時に最初に生じた男性神格の一つで,夜の女神ニュクスが,暗闇エレボスと交わって生んだ息子とされ,昼ヘメラ兄妹の関係にある。一伝ではアイテルは,このヘメラと結婚し,大地,天,海などの父となったともいわれ,ゼウスをその息子の一人に数える伝承もあった。

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世界大百科事典(旧版)内のアイテルの言及

【エーテル】より

…元来はギリシアの自然学における概念。月より下の世界を構成する原質としての土,水,空気,火に対して,天体の世界を構成する原質が〈アイテルaithēr〉と呼ばれた。つまり,真空を認めないギリシア的自然観にあっては,天体の世界にはアイテル(エーテル)が充満していると考えられた。…

【ギリシア神話】より

…最初は空虚を意味するカオスが,ついでガイア(大地)とその奥底なるタルタロスが,さらにいわばいっさいの生成の根源力としてエロスが生じた。カオス(中性名詞)からは形なきものどものエレボスErebos(闇)とニュクスNyx(夜)とが,そして夜から輝く上天の気アイテルAithērとヘメラHēmera(昼)とが生まれる。他方ガイア(女性名詞)はひとりでウラノス(天,男性名詞)を生む。…

【卵】より

…この卵は後に巨蛇に抱かれ,そこから秩序宇宙(コスモス)が孵化したという。またギリシアのオルフェウス教による神話は,上天の神アイテルAithērがクロノスないしカオスと交わって巨大な銀色の卵をつくり,そこから最初の両性具有神プロトゴノスPrōtogonos(〈最初に生まれた者〉)あるいはファネスPhanēs(〈光明〉)が生まれたと説く。さらにエジプト神話では,ナイル川のガチョウが産んだ黄金の卵から太陽神ラーが誕生し,創造神クヌムKhnumも口から卵を吐きだしこれを言語の源としたと語られている。…

※「アイテル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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