改訂新版 世界大百科事典 「アスコリドとジール」の意味・わかりやすい解説
アスコリドとジール
Askol'd i Dir
ロシア,リューリク朝以前のキエフの公。年代記によれば,ともにリューリクの家来の貴族で,ビザンティンへ行く許しを得てノブゴロドを発し,キエフでキー,シチェーク,ホリーフ3兄弟の子孫に会い,その一族のポリャーニン族(スラブ人)をハザル族の支配から解放した。2人とリューリクの関係の詳細については不明で,その出自はノルマン人のほか,バルト・スラブ人の可能性も考えられる。ビザンティンの資料によれば,2人は866年にロシアの大軍を率いてコンスタンティノープルを攻めた。しかしリューリクの死後,幼いイーゴリを奉じてノブゴロドから南下してきたオレーグにより882年に謀殺された。アスコリドの墓は今もキエフに残っている。生年は二人とも不詳。
執筆者:國本 哲男
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