アッシャー家の崩壊(読み)アッシャーケノホウカイ(その他表記)The Fall of the House of Usher

デジタル大辞泉 「アッシャー家の崩壊」の意味・読み・例文・類語

アッシャーけのほうかい〔‐ケのホウクワイ〕【アッシャー家の崩壊】

原題The Fall of the House of Usherポー短編小説。1839年発表。旧家末裔まつえいであるアッシャー兄妹の屋敷に招かれた主人公経験を描く怪奇小説

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アッシャー家の崩壊」の意味・わかりやすい解説

アッシャー家の崩壊
あっしゃーけのほうかい
The Fall of the House of Usher

アメリカの作家E・A・ポーを代表する幻想的な短編小説。1839年発表。ある秋の日の夕暮れ語り手が馬に乗って行くうち、忽然(こつぜん)と朽ちかけたゴシック風の建物が見えてくる。長年続いた旧家の末裔(まつえい)ロデリック・アッシャーとマデライン兄妹が住む屋敷である。語り手はロデリックの旧友で、そこに招かれていたのだ。数日滞在するうち、語り手はマデラインが死んだと告げられ、遺骸(いがい)を地下牢に安置するのを手伝う。だが、ある嵐(あらし)の晩、マデラインは息を吹き返し、白い経帷子(きょうかたびら)を血で染めた姿で兄を訪れ、2人は折り重なって死ぬ。すると屋敷もまた崩れ落ち、黒い沼にのみ込まれて姿を消す。現実と幻想の交錯する怪奇小説の白眉

[八木敏雄]

『八木敏雄訳『黄金虫・黒猫ほか』(講談社文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「アッシャー家の崩壊」の解説

アッシャー家の崩壊

米国の作家エドガー・アラン・ポーの短編小説(1839)。原題《The Fall of the House of Usher》。1928年のジャン・エプスタイン監督以降、何度映画化されている(邦題『アッシャー家の末裔』『アッシャー家の惨劇』『ハウス・オブ・アッシャー』)。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のアッシャー家の崩壊の言及

【ポー】より

…33年,《瓶の中から出た手記》が懸賞に当選し,作家としての,また雑誌編集者としての道が開けた。 その後ポーはリッチモンド,ニューヨーク,フィラデルフィアの各地で雑誌の編集にたずさわり,数多くの評論や書評を書くかたわら,唯一の長編小説《アーサー・ゴードン・ピムの物語》(1838)や短編集《グロテスクとアラベスクの物語》(1840)を出版し,《ライジーア》(1838),《アッシャー家の崩壊》(1839),《大渦にのまれて》(1841)などの幻想味豊かな名作,探偵デュパンが登場する《モルグ街の殺人》(1841),《マリー・ロジェのなぞ》(1842),《盗まれた手紙》(1844)などの一連の推理小説,《ハンス・ファールの無類の冒険》(1835),《メロンタ・タウタ》(1849)などの空想科学小説を70編近く発表した。ポーは人間の心にひそむ内的恐怖や無意識にみごとな形態を与えた怪奇小説や幻想小説の書き手,明敏でときには辛辣な批評家,それに今日隆盛をきわめる推理小説やSFの元祖であった。…

【実験映画】より

…それは,50年代の〈アメリカン・アバンギャルド〉,ライオネル・ロゴーシンの《バワリー25時》やアンディ・ウォーホルの《エンパイア》にもつながるものといえる。 同時期に,写真家ラルフ・スタイナーの《H2O》(1924)のような光を反映した水面を望遠レンズでとらえた〈抽象映画〉,また,チャールズ・クラインの《裏切る心臓》(1928),ジェームズ・シグリー・ワトソンとメルビル・ウェーバーの《アッシャー家の崩壊》(1928)のような《カリガリ博士》風の作品(〈カリガライズ〉という造語も生まれた),同じコンビによる《ソドムのロト》のようなのちの〈アンダーグラウンド映画〉の典型的なテーマの一つとなるホモセクシュアルを主題としたもの,〈ソビエト・テクニック〉と呼ばれたモンタージュ理論を実践したチャールズ・ビドアの《橋》《スパイ》(ともに1931‐32)等々がつくられている。のちにハリウッドの監督になるエリア・カザンやL.ジェーコブズなども〈エクスペリメンタル・フィルム〉の製作に参加しているが,助監督時代のロバート・フローレーが自宅のガレージをセットにして,わずか100ドルでつくった《9413の生と死――ハリウッド・エキストラ》(1928。…

※「アッシャー家の崩壊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android