改訂新版 世界大百科事典 「アテネオデマドリード」の意味・わかりやすい解説
アテネオ・デ・マドリード
Ateneo de Madrid
スペインの文芸協会。1820年設立。23年に始まるフェルナンド7世の専制期には下火になるが,35年には法的にも認可され,以後1930年頃まで科学,文学,芸術各界の知識人の活動の中心となった。18世紀のアカデミズムへの反動として,19世紀ロマン主義の時代精神を代表する。学会というより自由な知識人の集合体の性格を持ち,国内外の豊富な蔵書を抱える図書館の開放,講演会,座談会をおもな活動とした。これらの活動を通じてスペインの思潮に刺激と方向性を与え,自由主義精神と既成権力に対する抵抗の姿勢を維持しようとした。審美主義や〈98年の世代〉もここから生まれ,発展していく。20世紀初頭には,協会の活動は文芸の領域を越え,反王制の政治活動に及び,その拠点となる。そして,マヌエル・アサーニャら,第二共和制の指導的政治家を輩出した。しかし現在は,図書館活動以外には,見るべき活動を行っていない。
執筆者:宮川 智恵子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報