アドゥドアッダウラ(その他表記)`Aḍud al-Dawla

改訂新版 世界大百科事典 「アドゥドアッダウラ」の意味・わかりやすい解説

アドゥド・アッダウラ
`Aḍud al-Dawla
生没年:936-983

ブワイフ朝君主アミール。在位949-983年。名はカリフから授与された称号で,〈王朝の補助者〉の意。イラクファールスキルマーンを支配し,同朝の最盛期を現出させた。十二イマーム派を標榜し,イスラム世界でははじめてシャーハンシャー(王中の王)を名のり,中世ペルシア語のパフラビー語コインを鋳造させ,ササン朝以来のイラン的伝統との結びつきを強調した。学問・芸術の保護者としても知られ,歴史家ミスカワイフなどが輩出した。
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関連語 清水

世界大百科事典(旧版)内のアドゥドアッダウラの言及

【ブワイフ朝】より

…ムイッズ・アッダウラはイラクのサワード地方で,軍人に給与の代りにイクターを授与し,イスラム史上初めて軍事イクター制の施行者となった。 王朝は,アドゥド・アッダウラ,ファフル・アッダウラFakhr al‐Dawla(950‐997)の時代が最盛期であったが,ブワイフ朝の領土は,ファールス,ケルマーン,ジバール,イラクの4地方に大別され,それぞれ別の王族によって統治され,その関係は時代によっても異なり,複雑である。宮廷の公用語はアラビア語であり,《歌謡の書》を編纂したイスバハーニーらが現れ,アラブ文学の繁栄期であった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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