日本大百科全書(ニッポニカ) 「十二イマーム派」の意味・わかりやすい解説
十二イマーム派
じゅうにいまーむは
イスラム教シーア派のなかの一派。シーア派のなかで最大の信者をもち、サファビー朝以来イランの国教とされ、そのほかイラク、レバノンなどに信者がいる。預言者ムハンマド(マホメット)の従兄弟(いとこ)かつ女婿(じょせい)のアリー(600ころ~661)に始まり、ムハンマド・マハディーに至る12人をイマーム(教主)と認めるところに、その名は由来する。最後のイマームが874年に突如人々から身を隠して(ガイバ)以来、この「隠れイマーム」がふたたび出現し、正義と公正で世界を満たすことを待ち続けている。この再臨に至るまでは、ムジュタヒドとよばれる法学者・神学者たちがイマームの名代として宗教上の権威をもつ。一時婚、イマームへの上納金など、スンニー派と異なる法学や合理主義的な神学を発展させ、また独自の神秘哲学を生んだ。
[鎌田 繁]