アブラツツジ(読み)アブラツツジ(その他表記)Enkianthus subsessilis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブラツツジ」の意味・わかりやすい解説

アブラツツジ(油躑躅)
アブラツツジ
Enkianthus subsessilis

ツツジ科の落葉低木。本州中部以北の山地に生え,高さ1~3mになる。幹は平滑,灰色で,枝は細長い。葉は枝先に輪生し,薄質で縁に細鋸歯がある。葉の表面は脈上に毛があり,裏面光沢があり油を塗ったようなのでこの名がある。6~7月,枝先に総状花序下垂し,緑白色花をつける。は小型で淡緑色,5深裂する。花冠は長さ 5mm以下の壺状で口が5浅裂し,裂片は披針形でそり返る。果は光沢ある赤褐色球形で下垂する。この枝を束ねてほうきとするので,ハハキ (箒) ドウダン,ハハキヤシオともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブラツツジ」の意味・わかりやすい解説

アブラツツジ
あぶらつつじ
[学] Enkianthus subsessilis Makino

ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の落葉低木。葉は枝先に集まり、倒卵形、長さ2~3.5センチメートルで縁に細かい鋸歯(きょし)がある。裏面に油のようなつやがあるのでアブラツツジという。5~6月、枝先に総状花序を下垂し、壺(つぼ)形で小さい緑白色花が5~13個つく。果実は小球形で下垂し、果柄は曲がらない。本州の中部地方以北、宮城県まで分布する。東海地方、近畿地方、高知県には花序の軸が無毛の近縁種コアブラツツジが分布する。

小林義雄 2021年4月16日]

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世界大百科事典(旧版)内のアブラツツジの言及

【ドウダンツツジ】より

…樹形がまとまりよく,花や紅葉が美しいので,観賞用に栽培される。 ドウダンツツジ属Enkianthusは日本からヒマラヤにかけて10種ほど知られるが,日本では変異に富みドウダンツツジ節,サラサドウダン節,アブラツツジ節の3系統5種が野生する。ドウダンツツジ節は葉の伸びるより先に花が開き,果柄はまっすぐで曲がらない。…

※「アブラツツジ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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