アマディス・デ・ガウラ(英語表記)Amadís de Gaula

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アマディス・デ・ガウラ」の意味・わかりやすい解説

アマディス・デ・ガウラ
Amadís de Gaula

スペインの作家ガルシ・オルドーネス・デ・モンタルボ騎士道物語。 1508年刊。オリアナ姫に忠実な騎士アマディスの恋と冒険,巨人猛獣,騎士を相手に繰広げられる武勇伝で,原型は 14世紀前半にさかのぼり,フランスからポルトガル,ガリシアを経てカスティリアの中央部に伝わったものと思われるが,史実に基づかない奇想天外なフィクションの世界は原型にみられない特色であり,幻想小説,怪奇小説のさきがけと考えることもできる。 16世紀を通じて多くの続編,模倣作が書かれ流行したが,『ドン・キホーテ』でパロディーの対象とされ衰微した。

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世界大百科事典(旧版)内のアマディス・デ・ガウラの言及

【スペイン文学】より

…そして〈黄金世紀〉の棹尾(とうび)を飾る巨人がカルデロン・デ・ラ・バルカで,バロック期特有の凝った文体や舞台構成を用いた哲学的な《人生は夢》と平民の名誉を描いた《サラメアの村長》はスペイン演劇の最高峰に位置するものである。
[小説]
 16世紀前半に隆盛をきわめたのは《アマディス・デ・ガウラ》を頂点とする,中世の騎士道を理想化した騎士道物語であるが,こうした理想主義的傾向への反動として現れたのが,〈悪者〉の遍歴を通して社会悪を風刺する〈悪者小説(ピカレスク)〉である。1554年に出版された作者不詳の《ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯》がその嚆矢となったが,このジャンルはマテオ・アレマンの《悪者グスマン・デ・アルファラーチェの生涯》を経て,スペイン・バロック期最大の文人フランシスコ・デ・ケベードの《かたり師,ドン・パブロスの生涯》でその極に達した。…

※「アマディス・デ・ガウラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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