大学事典 「アメリカ教員組合」の解説
アメリカ教員組合
アメリカきょういんくみあい
アメリカ合衆国の教員主体の労働組合。1900年発足の教員と学生の組織(American Federation of Teachers and Students)を先駆として,16年にシカゴで設立。構成員の約6割は初中等教育学校教員だが,ほかに学校関係職員,政府関係職員,保健関係専門職者,それに高等教育機関教職員がおり,それぞれに部門を構成する。初期には学校管理職者を構成員としないことで,NEA(全米教育協会)との差別化があった。1918年という早い時期にアフリカ系アメリカ人を正会員として受け入れた。1930年代に大学教員が加わり始め,共産党の強い支配下に置かれたが,戦時下に排除。1940年代以来団体交渉を主要戦術として数多くのストライキを打ち,60年代にはアメリカで初めての大学教員による大規模ストライキを指揮した。政治的にアクティブで,民主党を支持し,バラク・オバマやヒラリー・クリントンへの多額の献金でも知られている。1977年以来,季刊紙『American Educator』を刊行。組合員数はNEAの半数の160万人程度で,1998年にはNEAとの合併を寸前で断念。全米の労働組合連合であるAFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)のメンバー。過去の著名なメンバーとしてジョン・デューイやアインシュタインがいる。本部は首都ワシントンにある。
著者: 舘 昭
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報