ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アリスティド」の意味・わかりやすい解説
アリスティド
Aristide, Jean-Bertrand
ハイチの革新派カトリック聖職者,政治家。サレジオ会士。 1975年からポルトープランスのスラム地区ラサリーヌの教会に勤務。解放の神学派聖職者の第一人者と目されるにいたる。 85年親子2代にわたる長期独裁のデュバリエ政権に対する反政府運動を指導,その後も後継政権とアメリカを厳しく非難し,政敵の暗殺の企てと教会上層部のハイチ退去命令のたびごとに首都貧困層の大衆行動に守られた。 88年末民衆扇動のかどでサレジオ会除名。 90年 12月大統領選挙に地滑り的勝利を収め,91年2月就任したが,同年9月のクーデターで追放され,アメリカに亡命。アメリカと米州機構 OASはアリスティド復権を求めてハイチの経済封鎖に踏切り,93年国連も安全保障理事会で経済制裁を決議した。 94年5月,ハイチの上院は亡命中のアリスティドのあとの大統領位を空位とみなし,最高裁判所長官エミール・ジョナサンを暫定大統領に任命した。国連の制裁強化と米政府の圧力により軍政が 10月に崩壊すると,帰国,復権した。連続再選が禁じられているため,96年2月に下野したが,2000年 11月の大統領選挙に出馬して当選した。
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