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軍政 ぐんせいmilitary administration

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

軍政
ぐんせい
military administration

軍事行政のこと。軍事諸機関,各部隊の建設維持,管理,教育などを実行する。作戦,兵力の運用の計画実行は軍令に属し,軍政と区別される。その区分は明確でないが,建軍以来政治の軍事に対する優位が確立していたアメリカや議会制度の発達していたイギリスでは,一般に軍政に属する分野が広く,またフランスのように,軍政・軍令一元主義のところもある。旧日本軍では軍部が軍政と軍令とをある場合には混同し,ある場合には分離して,軍の政治支配確立の基盤とした。西南戦争に際して,軍政・軍令の軍事権を委任されて鎮圧,征討にあたったこと,陸軍創設以来模範としてきたフランスの制度を,ドイツ式の二元主義に変えたことにより,軍令が歪曲・拡大解釈されるにいたった (→統帥権 ) 。現在では,各国とも,政治 (議会) の軍に対するコントロールを強めるため,軍政には,政治家,文官,政党指導者,実業家,学者などを参加させている。一般的な形態は,軍実施 (第一線) 部隊から中央の参謀本部までは,軍人により行政を行い,それ以上については民間人を中心とする中央行政を行うものが多い。また議会が予算,法律の審議,国政の調査権などによって軍政に関与する。国によっては,3軍の最高指揮権を元首がもっている。

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デジタル大辞泉の解説

ぐん‐せい【軍政】

軍事に関する政務。
戦争・内乱などに際し、軍が行政を担当すること。「軍政を敷く」⇔民政
明治憲法下で、軍の編制・維持・管理などに関する国務。→軍令
軍事政権」の略。「軍政当局がサイクロン災害に対する国際支援受け入れを渋る」

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世界大百科事典 第2版の解説

ぐんせい【軍政】

一般に一国の軍事に関する機能は,軍政(軍事行政),軍令,軍事司法に大別される。軍政は,国家の一般統治作用の一部としての軍事に関する行政をいい,軍備,国防政策,編制装備,予算,動員,人事,教育訓練,経理,衛生といった国軍の建設,維持,管理等を行う。軍政の作用には,軍の内部にのみ及ぼすものと,軍の目的のため軍外部に及ぼすもの(たとえば兵役,徴発など)があり,後者は国家行政と密接な関係を持つ。軍令は統帥ともいい,国軍の最高指揮官が,軍隊の戦闘力を発揮させるため,作戦計画を立て,部隊を編成し,命令を下達して,これを指揮運用する作用をいう。

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大辞林 第三版の解説

ぐんせい【軍政】

軍事上の政務。
軍隊が占領地・戒厳地に対して行う統治。 ↔ 民政
旧憲法下で、軍に関する行政事務。統帥事項を軍令というのに対する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

軍政
ぐんせい

国家の軍事作用のうち、軍隊の組織・編制・維持・管理に関する行政作用をいう。軍政は、軍隊の作戦・用兵に関する軍令と区別されるが、軍政事項と軍令事項の区別はかならずしも明瞭(めいりょう)ではなく、それを「混成事項」ともいう。明治憲法下では、軍政は国務の一部として、陸・海軍各大臣が補弼(ほひつ)を行った。戦後の防衛法制においては、軍政・軍令の区別を設けず、防衛作用全体を、新たに導入された文民統制の原則の下に置いて総合的に調整している。[古川 純]

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世界大百科事典内の軍政の言及

【海軍省】より

…海軍の軍政統轄機関。明治維新後,新政府の軍制では,海軍独立の行政機関はなく,海陸軍務課,軍防事務局,軍務官,兵部省と変遷した。…

【行政】より

…また,各省庁を横断するような業務を集中管理し,各省庁を調整している中枢的な省庁の活動のみが行政と呼ばれることもある。〈軍令は参謀部に属し,軍政は陸軍省に属する〉といったときの軍政という用語例にも,この種のニュアンスが含まれている。要するに,第3の用語法による行政の概念は,それが公私の別を問わず組織一般に適用されている点では第2の用語法より広い概念である反面,政府の行政機関の活動のうちのなんらかの部分のみが行政とされる点では第2の用語法より狭い概念なのである。…

【太平洋戦争】より

…その目的は,日本の傀儡政権である同政権の維持費その他の財源確保と〈毒化〉による中国の抗戦力の麻痺にあり,39‐42年に同政権が販売したアヘンは714t,約50万~80万名のアヘン中毒者の年間吸飲量に相当する量であり,その他にヘロインなども販売した。 これに対し東南アジアの占領地に対する支配方針は,〈南方占領地行政実施要領〉(1941年11月20日大本営政府連絡会議決定)によって定められたが,それはさしあたり占領地に軍政を実施し,軍政実施の目的は重要国防資源の獲得,治安維持および作戦軍の自活確保の3点であり,その本質は帝国主義的なものであった。日本軍は,インドネシア,フィリピン,マレーシア,ビルマなどで軍政をしき,親日的な現地の有力者や官吏を軍政機関に登用したり,のちには現地住民による〈政権〉を認めたりしたが,それらはいずれも現地指導者を傀儡(かいらい)として操る方式であり,軍政は現地住民に日本への絶対服従を強要する軍事独裁体制であった。…

※「軍政」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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