日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルジェの戦い」の意味・わかりやすい解説
アルジェの戦い
あるじぇのたたかい
La battaglia di Algeri
イタリアとアルジェリアの合作映画。1966年作品。監督ジッロ・ポンテコルボGillo Pontecorvo(1919―2006)。フランスの植民地であったアルジェリアの独立戦争の軌跡を追う。1954年のアルジェリア民族解放戦線(FLN)の武装蜂起以後、市内で繰り広げられるFLNのゲリラとフランス軍の武力闘争、1957年のカスバにおける大規模な掃討作戦、根絶されたかにみえた解放運動が1960年に突然の民衆蜂起(ほうき)で再燃するまでを、手持ちカメラや望遠レンズを多用した、緊迫感のあるドキュメンタリータッチで描く。全体として反植民地主義の立場からFLN側に寄り添う視点で描かれているが、ゲリラの無差別テロの犠牲になるフランス人の一般市民や、ゲリラを弾圧するフランス軍中佐にまなざしを注ぎ、被害者と加害者が交代しうる暴力の循環性にも焦点をあてている。ベネチア国際映画祭ではフランス側の上映中止要請もあったが、金獅子賞を受賞した。
[伊津野知多]