改訂新版 世界大百科事典 の解説
アルナルドゥス・デ・ウィラノウァ
Arnaldus de Villanova
生没年:1240ころ-1311ころ
スペインの錬金術的哲学者。フランス名アルノー・ド・ビルヌーブArnaud de Villeneuve。神学,哲学,法学,医学の教育をパリ,モンペリエなどで受け,ラテン語,ギリシア語はもとより,アラビア語,ヘブライ語も自由に駆使し,多くのすぐれた錬金術の著作を書いた。なかでも,《哲学者たちの薔薇》がとくに光っている。一時期バルセロナで,医者として実務についたこともある。広く旅をし,その過程でかの有名なルルスにも出会い感化を受けたといわれる。しかし結局は,異端者として教会から破門され,当時アラビア文化でとくに繁栄していたシチリア島のフリードリヒ2世のもとに逃れたと伝えられる。13世紀の最も傑出した錬金術的哲学者は,R.ベーコン,アルベルトゥス・マグヌス,ルルスであるが,アルナルドゥスもそれらの人たちに十分並びうる人物であろう。
執筆者:大槻 真一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報