ある女の遠景(読み)あるおんなのえんけい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ある女の遠景」の意味・わかりやすい解説

ある女の遠景
あるおんなのえんけい

舟橋聖一長編小説。5章からなる連作小説であるが、雑誌『群像』に1961年(昭和36)5月から1963年9月まで断続して発表され、1963年10月講談社より刊行された。九谷脩吉(しゅうきち)の娘維子(つなこ)は、幼いころからかわいがってくれた叔母伊勢子(いせこ)にあこがれ、その王朝趣味を受け継いで成人するが、かつて叔母を自殺に追い込んだ泉中紋哉(いずみなかもんや)にひかれ、叔母と同様、泥沼のような愛欲におぼれつつ生きる。叔母の姿と、叔母の愛読した『和泉(いずみ)式部日記』が遠景として点綴(てんてつ)された物語で、作者の王朝趣味と恋愛観が渾然(こんぜん)と調和した代表作である。

森本 穫]

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