日本大百科全書(ニッポニカ) 「アロル諸島」の意味・わかりやすい解説
アロル諸島
あろるしょとう
Kepulauan Alor
インドネシア、小スンダ列島東端の諸島。チモール島の北に位置し、その間にオムバイ海峡がある。面積2916平方キロメートル、人口約6万。アロル島とその西隣のパンタル島がアロル諸島の主島である。火山性の島で低地に乏しい。最高地点はアロル島のトンラプ山で標高1765メートル。主都のカラバイはアロル島北西部の深く入り込んだ湾の奥にある。
[上野福男]
住民
カラバイ周辺で話される言語はオーストロネシア語族に属するが、その他の地域では非オーストロネシア語族に属する言語が話される。トウモロコシ、陸稲、豆類の耕作を主要生業とするが、儀礼的には陸稲が重要である。村を越えた政治組織は存在しない。村はいくつかの父系の親族集団から成り立っており、儀礼の際には、この親族集団が重要な役割を果たす。モコとよばれる器、銅鑼(どら)、ブタが基本的な財産とされ、男性は、これらの財を多くもつことによって社会的な地位を高めることができる。結婚式、葬式、住宅建築の儀式などには、これらの財の交換が伴う。多くのアロル諸島民は現在ではキリスト教を受け入れており、海岸部では一部、イスラム教の影響を受けている地域もある。また外部との接触が少ない地域では、依然として伝統的な信仰体系をもっている。
[豊田由貴夫]