日本大百科全書(ニッポニカ) 「アングロノルマン」の意味・わかりやすい解説
アングロノルマン
あんぐろのるまん
Anglo-Norman
哺乳(ほにゅう)綱奇蹄(きてい)目ウマ科の動物。同科の1種ウマの1品種。中間種に属し、フランスのノルマンディー地方の原産で、在来馬をノーフォーク速歩馬、サラブレッドなどで改良したものである。乗馬、輓馬(ばんば)、速歩馬の3型があり、日本には乗馬と小形輓馬が数多く輸入され、軍馬の改良に著しく貢献したが、その子孫は少ない。フランスでは現在、セルフランセ(乗馬)、コッブ(輓馬)およびトロットゥールフランセ(速歩馬)の名称でよばれている。セルフランセは、筋肉質で骨は太く、体高1.6メートル程度の大格馬で、障害飛越には天性の能力がある理想的な高級乗馬であり、性質は従順である。コッブは前者より大きく、やや骨が太く筋肉質で、体形は重種に近く、駄馬としても使われる。近年肉用馬生産に用いられる。トロットゥールフランセは、アメリカスタンダードブレッドと並び称せられる優れた速歩馬で、おもにフランスを中心に約3万頭が飼育され、そのうち1万頭は速歩または繋駕(けいが)競走に使われている。ノーフォーク速歩馬のヤングラトラー号(1820年生まれ)によって著しく改良され、その子孫は全飼育頭数の3分の2を占めている。
[加納康彦]