アンコーレ族(読み)アンコーレぞく(英語表記)Ankole; Nkole

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンコーレ族」の意味・わかりやすい解説

アンコーレ族
アンコーレぞく
Ankole; Nkole

バニャンコーレ族 Banyankoleともいう。ウガンダビクトリア湖の西,エドワード湖の東の草原地帯に住む湖間バンツー語系諸族で,人口約 140万と推定される。起源の異なる2集団,牛牧民のヒマ人と定住農耕民のイル人で構成される。両者は4世紀にわたる歴史をともにし,父系氏族制度など共通する部分も多いが,政治的,社会的には厳格に区別されていた。アンコーレは 16世紀以来,ムガベと呼ばれる神聖王を戴く強力な王国を維持してきたが,ヒマはオクトイザ (保護関係) という関係を通じて王と個人的に結びついた戦士,支配階層を形づくり,一方イルはこれらヒマに仕える従属的地位におかれていた。両階層の通婚はきびしく禁止され,伝統的な威信の象徴であった牛 (とりわけ雌牛) の所有もヒマの特権であった。しかしイギリスによる植民地支配以降,ヒマのイルに対する支配を支えていた諸価値がくずれ,農作物の市場価値の上昇とともにイルの経済的,社会的地位も向上してきた。

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