アーリヤシューラ(読み)あーりやしゅーら(その他表記)Āryaśūra

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーリヤシューラ」の意味・わかりやすい解説

アーリヤシューラ
あーりやしゅーら
Āryaśūra

6世紀ごろのインドの仏教詩人。聖勇(しょうゆう)と訳される。アシュバゴーシャ馬鳴(めみょう))の詩風を継ぐ作家で、サンスクリット語仏教説話集ジャータカマーラー』Jātakamālāの作者である。これは『菩薩本生鬘(ぼさつほんじょうまん)論』と漢訳され(偽物とする説もある)、仏陀(ぶっだ)が前世において菩薩として行った種々の善行を集めたもので、優雅な散文韻文とを交えている。説話の多くはパーリ語『ジャータカ』からとり、34の本生話を含んでいる。

[田中於莵弥 2016年11月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のアーリヤシューラの言及

【インド文学】より

…仏陀前生の物語として集録された説話集〈ジャータカ〉は,サンスクリット文学における《パンチャタントラ》とともに東西説話文学上重要である。仏教文学はパーリ語仏典のほかにサンスクリット語による文学的価値の高い経典も多く,またアシュバゴーシャやアーリヤシューラ(聖勇,6世紀)などすぐれた仏教詩人が出ている。ジャイナ教文学は数種のプラークリット語を用いて教祖の伝記や経典を多く残しているが,後にはサンスクリット語も使用し,サンスクリット文学の翻案やその影響をうけた文学作品を残している。…

【仏教文学】より

…11世紀のクシェーメーンドラの《アバダーナ・カルパラター》もまたこの中に入る。なお,ジャータカを美しいカービヤ調の文学作品にまで高めたアーリヤシューラの《ジャータカマーラー》も4世紀のサンスクリット仏教文学作品として忘れてはならないものである。【田中 教照】
[中国]
 仏教がインドで芸術とのかかわりをもつようになったのは,紀元前後に起こった大乗仏教に始まる。…

※「アーリヤシューラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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