イェスタベルリング物語(読み)イェスタベルリングものがたり(その他表記)Gösta Berlings saga

改訂新版 世界大百科事典 「イェスタベルリング物語」の意味・わかりやすい解説

イェスタ・ベルリング物語 (イェスタベルリングものがたり)
Gösta Berlings saga

スウェーデンラーゲルレーブの小説。雑誌の懸賞に応募し入選した作品で,彼女の出世作となった。1891年刊。大酒飲みのために教会を追われた牧師イェスタ・ベルリングを主人公に,作者の郷里ベルムランド地方の伝説・民話を素材にして書いた長編小説である。社会の有閑分子が勤労奉仕の生活に目覚めるというテーマをふまえたものではあるが,彼女の詩情豊かな文章はそれを教訓臭くしていない。森鷗外訳《牧師》(1925)はこの作品の第1章の全訳である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のイェスタベルリング物語の言及

【スティルレル】より

…ロシア系ユダヤ人の子としてフィンランドの首都ヘルシンキに生まれる。ノーベル賞受賞の女流作家セルマ・ラーゲルレーブの小説を次々に映画化し(《運命の焰》1919,《吹雪の夜》1919,《呪の絆》1920,《グンナール・ヘデ物語》1923,《イェスタ・ベルリング物語》1924),ビクトル・シェースレームと並んでスウェーデン映画の最初の黄金時代を築く。舞台で発見した女優グレタ・グスタフソン(のちのガルボ)を起用した《イェスタ・ベルリング物語》をベルリンで見たMGMの副社長ルイス・B.メイヤーに認められ,1925年,ガルボを伴ってハリウッドに〈輸入〉され,ポーラ・ネグリ主演の《帝国ホテル》(1926)など4本の映画をつくったが,芸術家気質と完全主義がハリウッドの風潮に合わず(ガルボ主演の《明眸罪あり》(1926)の監督は途中で下ろされている),スターへの道をあゆんでいくガルボとは反対に,失意のうちに帰国して45歳で病死した。…

※「イェスタベルリング物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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