レセプター(読み)れせぷたー(英語表記)receptor

翻訳|receptor

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レセプター」の意味・わかりやすい解説

レセプター
れせぷたー
receptor

細胞表面や細胞内に存在し、細胞外からの物質や光を選択的に受容する分子をいう。受容体ともよぶ。光レセプターロドプシンフィトクロムなど)、神経伝達物質レセプター(アセチルコリンレセプター)、ホルモンレセプター、レクチンレセプター、抗原レセプターなどさまざまなレセプターが細胞膜にあり、どのレセプターをもつかは細胞の機能によって異なる。光レセプターは光のエネルギーを受容して活性物質に変化する。物質レセプターは細胞外からの物質と選択的に結合するが、この選択性はレセプターと結合物質間の構造上の特異性によって生じる。レセプターが特異的細胞外物質と結合してレセプター―結合物質複合体が形成されると、細胞はそれに対応して固有の応答をする。抗原に対応して抗体産生細胞が増殖したり、ホルモンレセプターをもつ細胞(標的細胞)が特定のホルモンに対応して細胞内でサイクリックAMP量を増大させ、その結果、特定物質の産生を増大させたりするのがそれである。細胞表面に生じたレセプター―結合物質複合体をエンドサイトーシスによって細胞内に取り込んで結合物質を利用する仕組みもある。ステロイドホルモンは脂溶性で細胞膜を容易に通過するので、そのレセプターは細胞内にある。これらのレセプターはいずれもタンパク質である。レセプターにはこのほかウイルスレセプターがあり、ウイルス粒子と特異的に結合するが、このレセプターは元来別の機能をもつ糖タンパク質がウイルスレセプターとして働くものであることが多い。

 なお、感覚器もレセプターとよばれるが、これは1個の細胞全体が外界からの刺激受容器として働くもので、タンパク質性のレセプターとは異なる。

[嶋田 拓]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レセプター」の意味・わかりやすい解説

レセプター
receptor

受容体ともいう。細胞表面の膜に存在し,細胞膜の外側物質と特異的に結合する物質。レセプターの本体は通常蛋白質である。細胞はレセプターにより特定の物質を見分け,細胞の外からきた情報を受け取ることができる。レセプターと物質との結合が引き金になって細胞には多様な反応が起こる。また,神経伝達や免疫に関与する受容体やホルモン受容体が知られる。なお,物質でなく光を見分ける物質 (ロドプシンなど) もレセプターと呼ぶ場合がある。

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