イブン・アブド・ラッビヒ(読み)いぶんあぶどらっびひ(その他表記)Ibn ‘abd Rabbihi

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

イブン・アブド・ラッビヒ
いぶんあぶどらっびひ
Ibn ‘abd Rabbihi
(860―940)

アラブ詩人・作家。スペインの後ウマイヤ朝カリフ、ヒシャーム・イブン・アブドゥル・ラフマーンの一解放奴隷の子孫で、コルドバで一生を送る。青年時代は歓楽の巷(ちまた)をさまよい、世の快楽を詩に歌ったが、改悛(かいしゅん)して禁欲的な詩作に専念した。20巻以上に上るといわれる詩集は伝わらない。代表作『無類の頸(くび)飾り』は25部に分かれ、各部の標題に宝石の名をつけて、当時の東方アラブの広範な知識水準を伝えている。ただ、この書はスペインのアラブ文化については記述がないが、アラブ文学史上もっとも重要な文献の一つである。

[内記良一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

イブン・アブド・ラッビヒ
Ibn `Abd Rabbihi, Abū `Umar Aḥmad

[生]860.11.29. コルドバ
[没]940.3.3. コルドバ
スペインのアラブ系文学者。恋愛詩にすぐれ,コルドバのウマイヤ朝の宮廷詩人となった。著書『たぐいなき首飾り』 al-`Iqd al-farīdは 25巻から成る名詩文選で,著者自身の詩も多く入れてある。アラビア語文学の粋を広い範囲にわたって集め,分類したもので,東方イスラム世界でも愛読され,アラビア語文学作品中,最も心を楽しませる書の一つとされている。

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367日誕生日大事典 の解説

イブン・アブド・ラッビヒ

生年月日:860年11月29日
スペインのアラブ系文学者
940年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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