日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
イブン・アル・シャーティル
いぶんあるしゃーてぃる
Ālā al-Dīn Abu'l-asan Alī Ibn Ibrāhīm al-Shāir
(1306―1375)
シリアの優れた天文学者。ダマスカスの大モスクで祈祷(きとう)の時刻を知らせる時守(ときもり)をし、天文器械を製作、その構造や使用について著作した。また天体観測を行い、当時のダマスカスで黄道の傾斜角を算定した。著作には『新天文表』Zīj al-jadīdがあるが、『根本を確かにする最高の願い』Nihāyat al-su'ūl fī tashīl al-usūlでは、プトレマイオスの天動説の周転円説に第三または第四の周転円を加えてより精密にしようとした。この方法は、エウドクソスの同心球説と似ている。
[平田 寛]
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