日の出や日没の直前・直後に太陽と背景の星との関係位置を観察すると、太陽が星の間を毎日すこしずつ東へ移動し、1年後にふたたび天の元の位置へ戻ることが見られる。太陽の天球上におけるこの運動径路は大円(天球面上に描くことのできる最大の円)でこれを黄道という( 参照)。天球上の太陽のこの運動は地球公転運動の反映である。黄道は一平面にあり、この平面が地球の軌道面である。黄道は現在、うお、おひつじ、おうし、ふたご、かに、しし、おとめ、てんびん、さそり、へびつかい、いて、やぎ、みずがめの諸星座を通っている。黄道は天の赤道と互いに180度離れた2点で交わる。このうち太陽が赤道の南から北へ横切る点が春分点(現在うお座にある)で、その反対側が秋分点(現在おとめ座にある)である。
黄道は現在、天の赤道(地球の赤道面を天球まで延長したときに天球上にできる大円)と約23度26分角(1度=円周の360分の1の角度。分は1度の60分の1の角度)をなす。これを黄道傾斜角という。黄道の位置や黄道傾斜角は毎年微小変化をする。なお、黄道から南北にそれぞれ90度離れた点を黄道の南極、黄道の北極という。黄道の南極はテーブルさん座、黄道の北極はりゅう座にある。
[大脇直明]
『ウナ・ヤーコプス文・絵、塚原真里子訳『太陽のいとなみ――植物、動物とともに』(1998・あむすく)』
太陽を中心にして公転している地球の平均の軌道面を黄道面といい,それが天球と交わった大円が黄道である。平均と真の軌道面との差は他の惑星の引力によって地球の軌道が変化することにより生ずるが,その大きさは角度の1秒以下である。地球から見るとこの大円は天球上を太陽の中心が1年で1周して描く曲線の平均の大円として知ることができる。この場合,地球の中心ではなく,地球の表面から観測するとその場所の緯度によって最大8.8秒ずれて見える。黄道は天の赤道に対して約23度27分傾斜しており,太陽が赤道の南から北へ通過する交点を春分点と呼び,北から南へ通過するものを秋分点と呼ぶ。また太陽が赤道の北側でもっとも離れた点が夏至であり,南側でもっとも離れた点が冬至である。黄道をおうどうと読む人もいる。
執筆者:古川 麒一郎
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…太陽を中心にして公転している地球の平均の軌道面を黄道面といい,それが天球と交わった大円が黄道である。平均と真の軌道面との差は他の惑星の引力によって地球の軌道が変化することにより生ずるが,その大きさは角度の1秒以下である。…
…実際には東へ,東へとずれるだけではなく,季節によってあるいは北寄りに,あるいは南寄りにもずれる。このように星空を背景にした太陽の描く軌跡が黄道である。黄道は天球に投影された赤道と23゜.5の傾きで交わり,両者の交点が春分点と秋分点である。…
※「黄道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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