改訂新版 世界大百科事典 「エウドクソス」の意味・わかりやすい解説
エウドクソス
Eudoxos
生没年:前400ころ-前347ころ
古代ギリシアの数学者,天文学者。アルキメデスに次ぐ独創性の持主で,地理学者,哲学者,立法家としても活躍。クニドスの人。アルキュタスに幾何学を学び,アテナイでプラトンと交わり,エジプトで暦法を学んだといわれる。数学者としては,通約できない量にも適用できる一般的な比例論を完成し,その成果はユークリッド(エウクレイデス)《ストイケイア》第5巻にまとめられている。また,求積問題では,〈取尽しの方法method of exhaustion〉と近世になって名付けられた証明法を考案して,角錐(円錐)の体積は同底同高の角柱(円柱)の体積の3分の1であることを初めて厳密に証明した。また,円の面積が直径の平方に比例し,球の体積が直径の立方に比例することも証明したらしい。そのほか,のちに解法不能問題とわかったが,立方体の倍積問題も解いたといわれている。天文学者としては,初めて地球を中心とする同心天球の仮説をたて,太陽,月,惑星の見かけの運動を幾何学的に説明しようとした。この同心天球説は,後にアリストテレスが,天球の数を増して,自己の世界像を説明するために取りあげたので,後世に大きな影響をもつことになった。
執筆者:佐藤 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報