イリリクム(読み)いりりくむ(その他表記)Illyricum

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イリリクム」の意味・わかりやすい解説

イリリクム
いりりくむ
Illyricum

ヨーロッパ南東部、バルカン半島西部のアドリア海沿岸に定住するようになったインド・ヨーロッパ語族に属するイリリア人の土地。イリリアIllyriaともよばれる。イリリア人がアドリア海の船舶を攻撃したために起こったローマとの二度にわたるイリリア戦争(前229~前228、前219)の結果、領土大部分はローマの保護領となった。紀元前168年、マケドニア戦争マケドニアを支援したため、残る領土もローマの支配下に置かれた。その後の長期にわたる属州化の過程でイリリクムとよばれるようになった。スラ(ローマの政治家)以後ガリア・キサルピナチザルピーナ)あるいはマケドニアとあわせて統治されたが、カエサルのもとで初めて一つの属州となった。

[市川雅俊]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android