日本大百科全書(ニッポニカ) 「イレトゥミシュ」の意味・わかりやすい解説
イレトゥミシュ
いれとぅみしゅ
Shams al-Dīn Iletmish
(?―1236)
インドのデリー・サルタナット最初の王朝、いわゆる奴隷王朝のスルタン(在位1210~36)。従来はアルタムシュAltamshやイルトゥトゥミシュIltutmishなどとよばれてきたが、最近では、このトルコ語風発音も用いられるようになった。ゴール朝のインド派遣軍の武将で、クトゥブッディーン・アイバクの奴隷としてしだいに権力の地位につき、アイバクの死後スルタン位についた。インドにいた旧ゴール朝の武将を抑え、またベンガル、シンド、マールワその他のヒンドゥー諸王権を征服し、北インドにおける最初のトルコ系イスラム教徒の支配の基礎を強固なものとした。その死後は4代にわたっていずれもその直系血族がスルタンになっている。
[荒 松雄]