ベンガル(読み)べんがる(英語表記)Bengal

翻訳|Bengal

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンガル」の意味・わかりやすい解説

ベンガル
べんがる
Bengal

インド亜大陸北東部の地方名。インドの西ベンガル州とバングラデシュからなる。インドではコルカタカルカッタ)、バングラデシュではダッカが中心的な都市である。土地の人はベンゴールと発音し、「バングラデシュ」はベンガル人の住む土地を意味する。ガンジス川下流デルタ一帯の豊かな土地で、「黄金のベンガル」とよばれることもある。米、ジュートの生産が多く、住民は、インド・ヨーロッパ語系に属するベンガル人が人口の90%以上を占める。

[北川建次]

歴史

この地方は、インド・アーリア人の定住地の東端をなし、住民にはモンゴロイドドラビダなど非アーリア系要素が色濃く残っている。6世紀前半のグプタ帝国の崩壊後、8世紀中ごろに仏教を支持するパーラ朝が統一を達成した。12世紀中ごろ、南インドから侵入したセーナ朝がこれを倒し、正統ヒンドゥー教を復活させ、カースト制度を確立した。13世紀初頭、アフガン系イスラム教勢力がベンガルを征服し、ついで16世紀後半~18世紀後半までムガル帝国によりイスラム教徒支配が続いた。16世紀後半から、この地に産する生糸絹布綿布などを求めてポルトガルオランダフランスイギリス各国が商館を設立した。1765年イギリス東インド会社がベンガルの実質的な領有権を獲得し、この地の豊かな税収はその後のイギリスのインド征服の重要な財源となった。こののち、1947年の分離独立まで、インドの植民地的経済搾取の最大拠点であった。

[谷口晋吉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベンガル」の意味・わかりやすい解説

ベンガル
Bengal

ベンガル語ではバンガーラー Baṅgālā。インド亜大陸北東部の地域。ガンジス川とブラマプトラ川の下流デルタ一帯を占め,インドのウェストベンガル州とバングラデシュが含まれる。8~12世紀はビハールを本拠とする仏教国パーラ朝の支配下にあったが,13世紀にイスラム,1576年にムガル帝国の支配下となった。 1690年にはイギリスがカルカッタを拠点として勢力を拡大しはじめ,1757~64年にベンガル太守からベンガル地方の支配権を奪った。 1937~47年イギリス領インドのベンガル管区を構成。 47年のインド,パキスタン分離独立に伴い,ヒンドゥー教徒の多い西部はインドに,イスラム教徒の多い東部は東パキスタン (現バングラデシュ) に帰属した。世界有数の米,ジュート生産地帯。住民はベンガル人で,ベンガル語が用いられる。

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