改訂新版 世界大百科事典 「イワガネソウ」の意味・わかりやすい解説
イワガネソウ
bamboo fern
Coniogramme japonica(Thunb.)Diels
ホウライシダ科の多年生シダ植物。常緑性だが,寒い地方では夏緑性となる。根茎は長くはい,しばしば大きな群落を作る。葉身は長卵形から広卵形,2回羽状複生,大きなものは長さ1mをこえる。羽片や小羽片の上部は漸尖し,側脈は網状に結合,脈端は葉縁の鋸歯の底に届かない。本州以南の暖地の,適度に深いやや湿った土壌のところに多く,スギ林の立地条件とよく一致するため,造林のさいの指標とされることがある。幼植物の葉は単葉で,しばしば中肋に沿って黄緑色の鷹の羽様の斑が入るので,観賞用に栽培されることがある。朝鮮南部,台湾,中国に分布している。同属のイワガネゼンマイC.intermedium Hieron.と似ているが,後者では葉片の上部が急に細くなって尾状となり,葉脈は結合せず,根茎は短くかたまるので区別される。また後者は,暖地のものは常緑だが,北方のものは暖地に移しても冬枯れするなど,種内変異がある。イワガネソウ属Coniogrammeには約20種あり,アフリカの一部とアジア,ポリネシアに分布しているが,新世界ではただ1種がメキシコに隔離分布している。
執筆者:光田 重幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報