ウィーランド(読み)うぃーらんど(その他表記)Wieland;or The Transformation, An American Tale

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィーランド」の意味・わかりやすい解説

ウィーランド
うぃーらんど
Wieland;or The Transformation, An American Tale

アメリカの作家C・B・ブラウンの小説。1798年刊。宗教的熱情に取りつかれ不可解な焼死をとげた父をもつセオドア・ウィーランドと妹クララの物語。クララが友人に書き記す形をとっている。長じたセオドアは主のない声を聞いて以来、性格の暗さが募って宗教的狂信に陥り、声の示唆を信じて妻と子供たちを殺してしまう。声は腹話術によるもので、声の主カーウィンは悪の意図のなかったことをクララに告白し、彼女が兄の犠牲になるところを救う。迷いから覚(さ)めたセオドアは自殺する。不可解なできごと、不気味な人物、誤解殺人などが恐怖サスペンスを生むゴシック小説だが、異常心理を掘り下げた心理小説でもある。

[松山信直]

『志村正雄訳『世界幻想文学大系3 ウィーランド』(1976・国書刊行会)』

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世界大百科事典(旧版)内のウィーランドの言及

【ブラウン】より

…フィラデルフィアのクエーカー教徒の商人の家に生まれ,法律を学んだが,1797年に女権論を出版したのを皮切りに健筆をふるった。彼の小説では《ウィーランド》(1798),《エドガー・ハントリー》《オーモンド》《アーサー・マービン》(いずれも1799)の4編が有名である。先の2編は18世紀末にイギリスで流行したゴシック・ロマンスの型をアメリカの舞台に応用したもので,今日にいたるまで連綿とつづくアメリカ文学におけるゴシック的伝統のさきがけと考えられる。…

※「ウィーランド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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