寄席芸の一つ。唇をなるべく動かさず,本人の口以外のどこか別のところから声がしているように思わせる話術。外国では1人の演者が男女の声を使い分けたり,小鳥や動物の鳴きまねをする,日本でいう〈ものまね〉の芸まで腹話術ショーに含めることがある。腹話術は英語でventriloquismと呼ばれ,ラテン語の〈腹venter〉と〈しゃべるloque〉に由来する。文字どおり胃で発声すると考えられていたが,現在では声帯以外の器官で発声することはできないとされている。歴史は古く,ギリシア時代,デルフォイの神託を告げる巫女は腹話術を使ったといわれ,今日でも,アフリカのズールー族,ニュージーランドのマオリ族のあいだに,その種の腹話術が残されている。ショーとして腹話術を初めてステージにかけたのは19世紀中ころの奇術師で,最初は舞台の上の人形が人間のように口をきくという見世物であった。人形を演者のひざの上にのせ,演者と人形が会話するというショー形式が定着するのは19世紀の末である。日本では1938年ごろ澄川久によって紹介されて以来,寄席芸の一つとして演じられてきたが,内容が単純で,演出にもくふうがないため,現在では人気を失い,子供向きの演芸として細々と生きながらえているのが現状である。1906年,ガントニーの《プラクティカル・ベントリロキズム》を訳した《肚言(とげん)術》が日本における最初の文献である。
執筆者:松田 道弘
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口を動かさずにしゃべる話術。英語では、ベントリロキズムventriloquismというが、ラテン語のventer(腹部)とloquor(話す)に由来する。古代エジプトやギリシアなどで宗教や妖術(ようじゅつ)と結び付いて存在、今日でもアフリカやニュージーランドの原住民の間に残されているが、今日一般に知られているのは寄席(よせ)演芸としてのそれで、演者が抱いた人形と対話するようにみせかけるものである。人形の話す部分に裏声を用い、口唇を動かさずに発音する方法をとる。1936年、アメリカのコメディアン、エドガー・バーゲンがチャーリー・マッカーシーと名づけた人形を使ってラジオの公開放送で演じたのが評判となり、映画にも出演、世界的に広まった。日本では39年(昭和14)ごろから流行、専門の腹話術師が輩出した。人形の台詞(せりふ)にマ行音およびハ行の濁音・半濁音を用いることを避け、また付け髭(ひげ)で口の動きを隠すなどのくふうを施せば素人(しろうと)にも比較的容易に会得できる演芸である。人形は手動で、口はもちろん、首や目が動くようになっているものが多い。
[向井爽也]
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