火災によって死亡することの総称。火災現場では,火炎との接触やその放射熱による熱作用,熱気や煙の吸引,燃焼による酸素欠乏などの影響を受けるが,直接の死因はほとんどが火傷か一酸化炭素中毒である。しかし,解剖などの十分な検査によっていくつかの因子の影響によると判断される場合や,解剖していないため一原因に決めかねる場合には,死因を焼死とすることが多い。火災時の煙の中に存在する有毒成分の主たるものは一酸化炭素である。燃焼物質によっては,青酸,塩素,アンモニア,ホスゲン,窒素酸化物などのガスが存在することもあるが,死因に対し大きな影響を及ぼすことは少ない。火災現場から発見された死体の中には,病死,自殺,他殺,事故死で出火時すでに死亡していることがある。これらの死体では,熱傷部に熱に対する生体反応がみられず,鼻口腔,気管,肺,食道,胃内に煙の吸引によるすすが存在しない。なお,焼死体は拳闘家のように手足を屈曲させているが,これは熱によって四肢の筋肉が収縮するために起こるもので,死後に焼けた場合にもみられる現象であり,火災時の苦悶状態を示すものではない。
執筆者:若杉 長英
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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