日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウェーゼル作戦」の意味・わかりやすい解説
ウェーゼル作戦
うぇーぜるさくせん
Weserübung
第二次世界大戦中、ドイツにより企てられ実施された北欧侵攻作戦。そのねらいはスウェーデンからドイツへの鉄鉱石輸送路の確保、イギリス軍の北欧進出阻止などであった。1940年4月9日朝、ドイツ軍は最後通告とともにデンマークへは陸路から侵入し、ノルウェーに対してはオスロ、ベルゲン、ナルビクなどの主要港湾都市へ海路から一斉に侵攻。デンマーク政府は、抗議しつつも無抵抗で通告を受諾した。ノルウェー政府は通告を拒否し、国王とともに北方へ脱出したが、9日のうちに主要都市の多くを占領され、13日にはオスロをも喪失した。これに対し、連合軍はただちに進出しノルウェー軍の抵抗を支援したが、西部戦線の情況悪化に伴い5月末撤収した。6月ノルウェー国王と政府もイギリスに亡命。以後、デンマークおよびノルウェー両国は終戦までドイツの占領下に置かれることになった。しかしこの作戦は、ドイツの海軍力を著しく消耗させ、後の対英作戦の挫折(ざせつ)の一因となった。
[本間晴樹]