改訂新版 世界大百科事典 「ウラナミシロチョウ」の意味・わかりやすい解説
ウラナミシロチョウ
Catopsilia pyranthe
鱗翅目シロチョウ科のチョウ。やや大型のシロチョウで,開張は6.5cm内外,翅はやや縦長。和名は裏面の細かな波模様から名づけられた。インドから東南アジア,オーストラリアにかけて広く分布し,日本では八重山列島にすむ。昔から九州西部に迷チョウとしての記録が多い。また,台風の後などに迷チョウとして九州や西日本に上陸した雌が,たまたま食草に遭遇すれば一時的大発生に至ることもまれではなかったが,近年は漢方薬の原料としてハブソウ,エビスグサを畑で栽培することが減ったためか,本土発生の例がまれとなった。南西諸島ではその他,同じマメ科Cassia属の灌木の若葉も幼虫の食草として利用される。本種は雌雄間および季節的にも変異が大きい。一般に雌は大きく,翅が黄みを帯び,黒紋が発達している。秋型は裏面前・後翅中室に環状紋をもつが,夏型にはない。このため,1953年秋,九州で飼育によって同種と確認されるまで秋型はミズアオシロチョウの名で別種扱いされていた。近似種にギンモンウスキチョウC.pomonaがあるが,黄みが強く大型で,裏面の波模様がないなどで容易に区別できる。
執筆者:高倉 忠博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報