改訂新版 世界大百科事典 「ウロンスキー」の意味・わかりやすい解説
ウロンスキー
Józef Maria Hoene-Wroński
生没年:1776-1853
ポーランド生れの数学者,哲学者。軍人としてポーランド独立戦争に参加した後,ドイツ,フランスで学問に励み,数学者として世に出た。数は合理的法則にとどまらず,抽象から具体まで人間の全活動の根源的運動を示す(彼の言う〈絶対〉)と考えており,この点サン・マルタンやエッカルツハウゼンの数論に近似している。ここから彼の数学(《算式の第一原理》)から哲学・宗教(《メシアニスムまたは人知の絶対的改革》),さらには教皇やナポレオン3世にあてた政治書簡に至るおびただしい著作が生まれた。また鉄道の改良,無限軌道の構想など,実際的な技術者としても活躍した。その人となりは,彼をモデルとした人物を登場させたバルザックの《絶対の探求》によくうかがえる。
執筆者:村井 文夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報