日本大百科全書(ニッポニカ) 「エイミス」の意味・わかりやすい解説
エイミス
えいみす
Kingsley Amis
(1922―1995)
イギリスの小説家。ロンドンの下層中産階級出身。オックスフォード大学卒業。第二次世界大戦に従軍。1953年詩集『心の枠組』を自費出版。1954年、若い大学講師が周囲の俗物たちに反逆して次々に滑稽(こっけい)な事件を引き起こす最初の小説『ラッキー・ジム』を発表。若い世代の既成社会への違和感がみごとに現れていて「怒れる若者たち(アングリー・ヤングメン)」の一人とみなされたが、彼の小説の魅力はその諧謔(かいぎゃく)性にあり、気質的にはむしろ保守的。次作『あの曖昧(あいまい)な気持』(1955)、『ここが好きだ』(1958)も好評で、その後も『今すぐ欲しい』(1968)、『お終(しま)い』(1974)などのほか、『地獄の新地図』(1960)という優れた探偵小説論もある。
[鈴木建三]