曖昧(読み)あいまい(英語表記)ambiguity

翻訳|ambiguity

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「曖昧」の解説

曖昧
あいまい
ambiguity

多義性。普通2つ以上の味にとれる表現として蔑視的にみられるが,W.エンプソンが『の七つの型』 (1930) でこれを詩の大きな特徴であると主張して以来,言語技術の一つとしてむしろ積極的に評価されている。7つの型とは (1) 単語または文法構造が同時に多様に働く,(2) 2つ以上の意味が1つの単語または統語法にとけあっている,(3) 地口,(4) 2つ以上の意味が矛盾しつつ結びつき一層複雑な精神状態を示す,(5) ある観念が生成過程にあるために直喩などが甲乙両者の中間にとどまる,(6) ある表現が種々の矛盾によりなにものも意味せず読者の側での受取り方にまかされる,(7) 1単語のもつ2つの意味が文脈上対立し作者は主体の分裂を示す,という場合である。「新批評」以来重要な批評用語となった。

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精選版 日本国語大辞典「曖昧」の解説

あい‐まい【曖昧】

〘名〙 (「曖」も「昧」も「暗い」の意)
① (形動) 暗いこと。また、そのさま。〔何‐景福殿賦〕
② (形動) 物事がはっきりしないこと。物事が確かでないさま。あやふや不明瞭
※本朝文粋(1060頃)一一・翫鶯花詩序〈小野篁〉「況在曖昧之中、思瑩払之道
※文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉緒言「既往を論ずるに臆測推量の曖昧(アイマイ)に陥ること少なくして」 〔後漢書‐蔡邕伝〕
③ (形動) うしろ暗いこと。いかがわしいこと。怪しげな、疑わしいさま。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一三「隠匿(いんとく)曖昧(〈注〉ウスグラキ)の事を為(なさ)ず」
検番帳簿に記入された一人のなじみ客のほかに、他の客となじんだ芸妓を卑しんでいう。明治時代、京都で用いられた。

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デジタル大辞泉「曖昧」の解説

あい‐まい【曖昧】

[名・形動]
態度や物事がはっきりしないこと。また、そのさま。あやふや。「曖昧な答え」
怪しくて疑わしいこと。いかがわしいこと。また、そのさま。「曖昧宿やど
[派生]あいまいさ[名]
[用法]あいまい・あやふや――「あいまいな(あやふやな)態度」「あいまいな(あやふやな)返事」の場合は、相通じて用いられる。◇「あいまい」は「責任をあいまいにする」「あいまいな説明でごまかす」のように、意識的に物事をはっきりさせないでおく場合にも用いる。これを「あやふや」で置き換えると不自然である。◇「あやふや」は「あやふやな気持ち」「あやふやな答弁」のように、本人自身が言葉や態度をはっきりさせられずにいる場合に用いることが多い。
[類語]不確かうやむやあやふや漠然おぼろげぬらりくらりぬらくらのらりくらりのらくらぼやかす無節操洞ヶ峠言を左右にする言葉を濁す煮え切らないどっちつかず要領を得ないなんとなくなんだかそこはかとないほんのりなんとはなしどことなくそれとなしに心なしなにかしら思いなしかほのかぼけっと朦朧もうろうぼやける雲をつかむもやもや曖昧模糊模糊ファジー茫乎ぼうこぼうっと茫茫ぼうぼう漠漠不明瞭茫漠ぼうばくマイルドまろやか穏やか穏便穏当紳士的婉曲えんきょく甘美快美当たらず触らず物柔らかほどほど控え目ソフト柔らかい柔軟しなやか軟化柔らか軟質軟弱柔いやんわりぼかすメロー柔和にゅうわ温厚温和穏健まったり丸いゆるやか

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普及版 字通「曖昧」の解説

【曖昧】あいまい

かすんで定かでない。ことの理否が明らかでない。〔晋書、杜預伝〕の心實(まこと)に(さと)る。敢て曖昧の見を以て、自ら後の(わざは)ひを取らず。

字通「曖」の項目を見る

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