あい‐まい【曖昧】
〘名〙 (「曖」も「昧」も「暗い」の意)
① (形動) 暗いこと。また、そのさま。〔何晏‐景福殿賦〕
② (形動)
物事がはっきりしないこと。物事が確かでないさま。あやふや。
不明瞭。
※本朝文粋(1060頃)一一・翫鶯花詩序〈
小野篁〉「況在
二曖昧之中
一、思
二瑩払之道
一」
※文明論之
概略(1875)〈
福沢諭吉〉緒言「
既往を論ずるに臆測推量の曖昧
(アイマイ)に陥ること少なくして」 〔後漢書‐蔡邕伝〕
③ (形動) うしろ暗いこと。いかがわしいこと。怪しげな、疑わしいさま。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一三「
隠匿(いんとく)曖昧(〈注〉ウスグラキ)の事を為
(なさ)ず」
④
検番の
帳簿に記入された一人のなじみ客のほかに、他の客となじんだ
芸妓を卑しんでいう。明治時代、京都で用いられた。
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デジタル大辞泉
「曖昧」の意味・読み・例文・類語
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曖昧
あいまい
ambiguity
多義性。普通2つ以上の意味にとれる表現として蔑視的にみられるが,W.エンプソンが『曖昧の七つの型』 (1930) でこれを詩の大きな特徴であると主張して以来,言語技術の一つとしてむしろ積極的に評価されている。7つの型とは (1) 単語または文法構造が同時に多様に働く,(2) 2つ以上の意味が1つの単語または統語法にとけあっている,(3) 地口,(4) 2つ以上の意味が矛盾しつつ結びつき一層複雑な精神状態を示す,(5) ある観念が生成過程にあるために直喩などが甲乙両者の中間にとどまる,(6) ある表現が種々の矛盾によりなにものも意味せず読者の側での受取り方にまかされる,(7) 1単語のもつ2つの意味が文脈上対立し作者は主体の分裂を示す,という場合である。「新批評」以来重要な批評用語となった。
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普及版 字通
「曖昧」の読み・字形・画数・意味
【曖昧】あいまい
かすんで定かでない。ことの理否が明らかでない。〔晋書、杜預伝〕臣の心實(まこと)に了(さと)る。敢て曖昧の見を以て、自ら後の累(わざは)ひを取らず。字通「曖」の項目を見る。
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