改訂新版 世界大百科事典 「エウテュケス」の意味・わかりやすい解説
エウテュケス
Eutychēs
生没年:378ころ-454
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…アリウス説はニカエア・コンスタンティノポリス信条(381)において退けられ,ここに正統的教義が確立した。このとき,キリストの人性の完全性を否定するアポリナリウスも退けられたが,続いてネストリウスは逆に人性を第一として神性を弱め,あるいはエウテュケスは人性を神性の中に吸収するなど,神性・人性の区別を明らかにしない〈単性論〉が行われた。これを排したのはカルケドン信条(451)の〈両性論dyophysitism〉であって,〈両性は混合せず分離せず〉というのがその表現である。…
…計画は露見したが,すでに西方へ関心を移していたアッティラは,翌年和議に同意した。宗教問題では単性論のエウテュケスを支持し,449年皇帝を動かしてエフェソスに公会議を開かせ,エウテュケスの説を正統と認めさせた(盗賊教会会議)。これらの諸政策はプルケリアやコンスタンティノープル元老院,また教皇レオ1世の憤激を招き,450年に即位したマルキアヌス帝は彼を処刑させた。…
…〈キリスト単性論〉ともいう。単性論の極端な形は,提唱者ともいうべきコンスタンティノープルのエウテュケスによれば,キリストは受肉前は神性と人性の両性を有するが,受肉後は唯一の本性しかもたない,すなわち人性は神性に吸収されるとの立場である。単性論の背景として,アレクサンドリアのキュリロスにいたるまでのアレクサンドリア学派の神学が,キリストの完全な人性を無視してすら〈受肉したロゴスの唯一の本性〉を重視する,換言すればキリストをあくまで神と考えたい,との傾向をもっていたことにある。…
※「エウテュケス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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